●牛乳「有害説」は本当? 各界に波紋。
このところ書籍やインターネット上で、“牛乳有害説”をめぐって波紋が広がっています。
事の発端は、昨年出版されてベストセラーになった「病気にならない生き方」(サンマーク出版)で、著者である米国在住の新谷弘実医師が食生活の改善について記述しているのですが、この中で牛乳に関する項が論議を巻き起こしているものです。
また、このHPでも何回か取り上げました、環境ホルモンとしての問題点も述べられており、非常に気になるものです。
そこで今回は、新聞やインターネットなどの健康欄で話題となった内容をまとめてみました。
1) 骨粗しょう症に対しては?
日本の農地にはカルシュウム分が少なく、そこから取れたものを主食とする日本人のカルシュウム不足は深刻です。特に超高齢化を迎えて、骨粗鬆症は大きな問題となっています。
このカルシュウム不足を牛乳を飲んで補い、寝たきり老人を作り出すおおきな原因である太ももの付け根部分の骨折を防ごうというというのが、これまでの通説でした。
ところが最近の研究で、牛乳を飲んでも必ずしもこの大腿骨頚部骨折を抑制しないとの報告があり、議論が広がったのです。
即ち、日本人が1年間に飲む牛乳は1人平均約35リットルですが、デンマークやオランダなどは100リットルを超えており、チーズなど乳製品を含めるとその差は4倍前後にもなるのだそうです。
ところが、高齢者の大腿骨頚部の骨折率は北欧諸国の方が日本より高い事が分かり、このため「牛乳は防止策にならない」というものです。
しかしその一方で、平均的な骨の密度は北欧人の方が高い事が分かっており、また日本人と西洋人とは体型が異なり、もし北欧人の牛乳摂取量が少なかったら骨折はもっと増えるはずで、このような体型差を無視して議論をするのは問題とする専門家の意見があります。
やはり牛乳には、寝たきり老人を防ぐ効果があるという訳です。
2)環境ホルモンの影響は?
牛乳には、硫酸エストロンなどの女性ホルモンが含まれています。
特に今年6月の環境ホルモン学会で報告された、硫酸エストロンはビスフェノールAなどの環境ホルモンよりも強い作用があるとの説が報告され、注目されました。
これは山梨医科大の佐藤章夫名誉教授らが報告したもので、雌ラットに発がん物質と同時に牛乳を与えたところら、牛乳には乳腺腫瘍を促進させる作用が認められたというものです。
そして、牛乳を大量に飲み続けると卵巣がんなどのリスクが高まるのではないか、との警告がなされています。
これに対し、牛乳中のホルモンを摂取しても、女性の体内を流れているホルモンの量に比べれば微々たるもので、そのような影響が本当にヒトについても言えるかとの疑問もあるようです。
今のところ、この牛乳とがんとの関係はまだ仮説の域を出ておらず、今後さらに科学的データを基にした議論が必要だというのが、専門家の間の一般的な意見のようです。
3) 乳は子牛のための栄養分で、人には有害では?
我々庶民の間でよく取り上げられる牛乳有害説です。即ち、牛乳は子牛が飲むもので、人が他のほ乳動物の乳を飲むのは不自然だ、というものです。
これについては、野菜や肉、魚なども人間のために存在しているわけでなく、牛乳も数ある食材の一つであり、必要な栄養素を牛乳から取ってもおかしくないという意見があります。
しかし、気になるのは、酪農家達が大量の牛乳を作り出すために、飼育法に問題があるのではないかということです。
最近では、ホルモン剤や抗生物質を牛に投与する事に批判が集まり、かなり改善されているようですが、今もってその疑問は続いています。
これは牛乳を効率よく作るスーパーカウについての工業化の問題にもなるのですが、遺伝子組み替え農作物の可否と同様の問題を感じます。
我家では、毎朝全員で牛乳を飲んでいますので、一刻も早く、牛乳を飲むことの是非を科学的に解明していただきたいと願わずにはいられません。
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