●人間の適応力:幸せは永続きしない。不幸にもすぐに慣れる。


 今、幸せな人は「この生活を続けたい」、不幸せな人は「不幸から逃れて幸せな生活をしたい」などと思うのは、人間として自然な感覚だと思います。

 ところが、最近の研究によると、ヒトはそのような“主観的な感覚”にはすぐに慣れっこになってしまい、 幸せも不幸せも気にならなくなるように、プログラムされているということです。

 この報告は、ミシガン州立大学のRichard E. Lucas氏らが、心理学誌「心理学における現在の方向(Current Directions in Psychological Science)」(2007,April号)に発表したものです。

 研究はドイツ及び英国で行われた大規模調査を元に解析したもので、結婚、離婚、失職、病気、或いは障害のような様々な人生での出来事を経験した場合、その前後で満足度のレベルがどう変化するかを調べました。

 その結果、結婚した場合の幸せについてみると、ほとんどの人は結婚後すぐに慣れてしまい、満足度は数年以内に結婚前の程度にまで低下することがわかりました。

 逆に、伴侶を亡くすなどの深い悲しみに対しても同様で、この場合は結婚での幸福感喪失よりに長い時間が必要でしたが、それでも約7年後には忘れることができ、慣れることが出来るとされています。

 離婚や失職などの場合は、以前の幸福度には戻りづらかったようですが、それでもいずれは不幸な状態から脱し、以前と同様の幸福感を得ることが出来たそうです。
 更に、重い病気や障害についても同様で、いずれは気にならなくなってしまうのだそうで、やや勇気づけられます。

 ちなみに、今までの心理学の常識では、そのような状況に陥ると主観的な満足度が長く低下したままである、と云われていたようです。

 以上の結果から、ヒトは環境に対する適応力が強く、幸福や不幸にもすぐに慣れることができ、生活環境にはあまり影響されないように出来ていると云う事で、強く生きるようにプログラムされているようです。

 勿論、人それぞれによって個人差がありますが、“いやなことがあっても、時間が解決してくれる”と昔からよく聞かされてきましたが、どうもこれは、人間として重要な生きる能力であるように思えます。

 尤も、幸せに慣れ切ってしまうのは、あまりいただけませんが・・・。



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