● 肥満の乳幼児は、将来IQが低くなる !?


 米国ほどではないにしても、国内でも肥満の人が徐々に増えつつあります。
 子供のときに肥満だと、20-30年後には、糖尿病は勿論、心疾患や高血圧の危険性が高まることはよく知られています。

 さらに乳幼児の肥満は知能の発育にも影響し、4歳以下の時に肥満児だった場合には、将来IQ値が平均より大幅に低くなるという報告を見つけましたので、お知らせします。

 これは、フロリダ大学小児科のDaniel J. Driscoll教授らが、国際小児科学会誌The Journal of Pediatrics(August 2006; vol 149: pp 192-198)に報告したもので、若年者の肥満問題には充分な注意が必要と警告しています。

 研究は、4歳までに身長からみた適正体重を150%以上オーバーしており、病的に太っている18名について調べたものです。
 4〜22歳までの参加者18名(平均年齢11歳)についてその肥満原因を調べ、次にIQテストと認識能についての試験を行いました。
 なお比較には、兄弟や姉妹で肥満にはならなかった24名について同様のテストを行い、対照としています。

 なおこの中には、小児肥満の原因で、同時に精神発達の異常が伴うプラダーウィリ症候群(Prader-Willi syndrome)の子供もかなり含まれていたそうで
す。

 試験結果では、プラダーウィリ症候群、或いは肥満原因が不明の子供ではIQテストの成績が悪く、平均IQ値はプラダーウィリ症候群では63、原因不明の肥満児77で、対照の子供の106に比べ、大幅に低い事が分かりました。

 即ち、異常肥満児では、正常体重児と約25-30ポイントの差があり、またそのスコアもまちまちな事が明らかになったとされています。
 ちなみに、IQ60〜80は精神障害者までではないですが、認知障害者となるボーダーラインの値だそうです。

 次に、核磁気共鳴画像診断(magnetic resonance imaging (MRI)を用いて、脳の構造に異常がないかを調べました。

 その結果、4歳までに異常肥満となっていた11歳児の場合、正常体重の兄弟には見られないようなMRI斑点が脳内に検出されました。

 同様の斑点はプラダーウィリ症候群の患者さんの脳にも見られており、そのMRI斑点がどのような影響を与えているかはよく分からないとのことですが、あまりよい傾向ではないと考えられるそうです。

 今回の研究では、どの程度の肥満が知能に影響しているかは分かりません。
 そして、肥満を起こすホルモンや代謝異常が脳の発育を悪くさせるという可能性や、逆に脳の発育不良が肥満を引き起こすことも考えられ、今後更に詳しい研究が必要です。

 しかし、脳が発達するには、生後の数年間が非常に重要な時期であることはよく知られているとおりです。
 特に生後間もない子供では脳が未発達で障害を受けやすく、例え肥満との直接的な関係が証明されていなくとも、注意が必要と思われます。



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