●セレン: 前立腺癌を予防するが、皮膚癌は悪化 !!
微量元素のセレンは、"前立腺癌などの癌の予防効果はあるが、皮膚癌に関しては逆効果"、と報告されました。今日はその話題を。
セレンは、牡蠣やマグロなどの魚介類のほか、レバーなど動物の内臓や玄米、小麦胚芽などに豊富に含まれている微量元素です。
ご存知のように、癌の予防効果が高い食品成分として、最近強い関心を集めているものです。
がん死亡率が米国で最も高いオハイオ州では、住民のセレンの血中濃度は0.157ppmと低いのに対して、がん死亡率が低いサウスダコタ州では0.256ppmとはるかに高く、サウスダコタの土壌にはセレンが豊富に含まれているため、この州の人は癌になりにくいのでは、という話はよく知られています。
そのような噂話が発端になり、セレンの種々の癌に対する予防効果を調べる研究が、大規模に行われるようになりました。
実際、セレンを服用した人は、癌発症率が25%、癌の死亡率が41%も低いことが明らかとなっています。
セレンが有効な癌の種類別では、前立腺癌の発症率が52%、肺癌54%、大腸癌41%、といずれも発症率が低くなっているとの事です。(これらについては、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev;11,630,2002号に報告されています)
今回の発表はそれの続報で、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)誌10月1日号に掲載されているものです。
この調査では、対象者として再発しやすい癌である皮膚癌(メラノーマは除く)の患者さんが選ばれました。
先ず、非メラノーマ皮膚癌の既往歴がある1,312人(平均年齢63歳、3/4が男性)の血清中セレン濃度を測定したところ、平均値114ng/mlと低い値だったそうです。
次に、1日量200μgのセレンを連日服用して、その効果を調べました。
その結果、予想に反して、セレンを投与した群では、皮膚癌の再発率が17%も高くなることがわかりました。
そこで研究グループは、試験開始時の血中セレン濃度で3群に分け、更にセレンの影響を詳しく評価しました。
すると、セレン濃度が低いグループ(105.2ng/ml以下)では、セレン投与群では影響は認められなかったのですが、中間グループ(105.6〜122.0ng/ml)、及び高値グループ(122.4ng/ml以上)では、セレン投与群では皮膚癌再発率が明らかに高かったそうです。
即ち、この結果は、非メラノーマ皮膚癌の既往者では、セレンを服用しても癌再発抑制効果が認められないばかりか、セレンの血中濃度が高い人では再発率が5割増しにもなる、ということを示しています。
従って、セレンは前立腺癌については再発予防効果がありますが、こと非メラノーマ皮膚癌に関しては、再発予防が期待出来ないだけでなく、再発率が高まる危険性があります。
このような、非メラノーマ皮膚癌にかかった事のある方は、セレン含有のサプリメントの服用は避けた方が無難のようです。
"○○は、××によい"、などといわれて、サプリメントなどを盲目的に摂る事が危険なことを示しています。
根拠をよく確かめたうえで、摂るかどうかを決めるようにしましょうね。
(http://www12.ocn.ne.jp/~drhase/)